秋田県の北部中央に位置する北秋田市。駅前中心市街地の核であった旧・北秋中央病院の跡地に、商店街の活性化を図るために計画された市の中央公民館の役割を果たす建物です。敷地は商店街の真ん中の交差点の一角にあり、JR奥羽本線・鷹ノ巣駅からも見える角にあります。商店街との連続性を持たせるために、商店街に接する敷地先端部にポケットパークを設け、そこを中心に建物内部には3本の軸となる通り庭の路地空間を設け、不整形な敷地に秩序を与えるコンセプトで空間を構成しています。

ポケットパーク、交流広場、多目的ホール、多目的広場、駐車場に至る、内外を貫く空間には連続性を持たせており、さらに背後の街並みとのつながりも生み出していくよう計画されています。ポケットパーク全体を見渡せるカフェは商店街に面し、開閉式の全面ガラスを全開すれば、ポケットパークとも商店街とも地続きの開放的な憩いの場となります。また、チャレンジブース(地域の人々が手がける農作物や花、加工品、手芸品などを販売する店舗)やバス待合は、前面道路に面して並べて配置し、バスを待っている人が気軽に立ち寄れるようにしました。ポケットパークから入口を入るとすぐ交流広場があります。吹抜けの明るい空間で、待ち合わせや休憩、友達とのゲーム遊びなど、親子連れから小中高生、お年寄りまで、各世代に気軽に利用されています。その奥には500人収容可能な多目的ホールが続きます。開閉式の仕切り壁で、大きなイベントのあるときには仕切り壁をなして交流広場と一体につなげ、2階廊下からも多目的ホール全体がよく見渡せるようになります。ホールに入りきらなかったお客さんや、子どもが小さくて落ち着いて座っていられない親子連れなど、2階廊下からホールのイベントを鑑賞している姿も見られます。仕切り壁を使えばホールとして使えます。

多目的ホールに限らず、この施設ではどこも固定した間仕切り壁は最小限とし、全体が一体となったフレキシブルな活用が可能な施設となっています。この他、1階には子育て世代支援室や和室、特産品加工室や調理実習室、2階には中高生の学習ラウンジ、創作スタジオや音楽スタジオ等、様々な機能の諸室を配置することでアクティビティの高い建物とし、人の流れを建物の内部に呼び込んでいます。

地元産の珪藻土を内装に活用したり、秋田杉の天井にするなど、地産地消の素材を活用しています。環境性能には特に配慮し、高性能な外断熱、地中熱ヒートポンプと木質ペレットボイラーのデュアル熱源や太陽光発電、井水の活用等、自然エネルギーを最大限活用した建物としています。夜10時と遅くまで開館していますが、施設維持に関わる光熱費は