秋田県潟上市天王に「潟上市天王こども園」が2021年8月に無事竣工しました。

この施設は、幼児教育・保育の推進のため、保護者の就労の有無にかかわらず、一貫した就学前教育を提供できる場として、また、地域の子育て支援機能も併せもつ天王地区の子育て拠点施設として整備されました。園舎内は、年齢に応じた保育空間とし、1階に0歳児室から2歳児室、2階に3歳児室から5歳児室、一時預かり室、子育て支援センター室が整備されています。園庭は、すべての保育室および職員室に南面し、年齢に応じた遊びの内容を区分するため3歳児未満と3歳児以上にエリア分けを行うなど、子供の安全にも配慮されています。

 

・担当者の感想 入所定員数280名と、規模が大きいことがひとつのポイントでした。  敷地は秋田県の潟上市というところで、雪はそれほど積もりませんが風が強く冬期は非常に冷え込みます。  建物の熱損失をできるだけ減らし、かつ除雪が困難な雪溜まりができないよう単純な矩形プランとする方針としましたが、床面積をコンパクトに納めながら動線や採光条件などを調整することが大変でした。  しかしながら、コンパクトに納めようと試みることで、密度が高く豊かな保育空間がデザインされたと感じています。  敷地南東側には日当たりの良い大きな園庭があり、園庭に面して各保育室が並んでいるため、直接園庭に遊びに出られます。(2階は屋外階段を利用して直接出られます)
 各保育室は、1階・2階共に各階の遊戯室に直接出られるよう、動線を工夫してコンパクトに計画しています。  外遊びと室内遊びを選べる平面計画となっており、この点をプロポーザル提案時に評価されました。  建物の中央部には吹抜けを設けることで天窓から光りあふれる遊戯室となっており、こどもたちが冬期も安全に遊べ、心豊かにすくすくと育っていくことを願っています。

・施設の方々の思い こどもの人数が多く建物の規模も大きくなるため、見通しよく園庭も含めて死角が極力できないように設計時から注意深くされていました。 その上で、子どもたちがのびのびと遊び、過ごせるよう、十分な広さの確保と間仕切り建具の開口幅の設定などに気を配られていました。合併前の各保育園・幼稚園の先生方全員の要望書が集められ、今までのノウハウが設計に反映されることで保育の現場の思いもこもった施設となりました。