NOVA大森

内装の設計施工を行う会社の自社オフィスビル。ローコストであること、会社のイメージにふさわしく豊かにデザインされた空間であること、働く場としてゆとりある環境とが求められた。構造を徹底的に単純で合理的なものとし、コストを押さえる工夫をまず考えた。そして自然に生じる空間のゆとりをそのまま表現することで、奇抜な「形」によらない空間のおもしろさを求めた。執務空間は使いやすさを第ーに矩形の単純な空間とし、構造、設備がシステマチックに統合された設計とした。それに対し、通常はコアとして壁の中におしこめられてしまう階段、エレベーター、便所等を空間の中に自由に解放し、エレメントが浮遊する、透明感のある伸びやかな吹抜け空間を作りだした。合理的で秩序だった執務空間と、やすらぐ場としてのロビー空間の恋意的な構成の対比が特徴である。コンクリート打ち放し、ステンレスパネル、ガリバニウム、スチール、塗装の壁、集成材、ガラス、ガラスプロック等の素材の組み合わせとディテールにも気を配った。そっけないほどシンプルな外観のなかに、大きな吹抜と明るいロビー、水の眺めも加わって、快いオフィスとなった。