1998

栗駒山荘

Hotel

第三セクターで運営する公共の温泉宿泊施設である。標高1200mの峠にあり、11月初頭から4月末までの半年間は雪に埋もれ、閉鎖されるという、非常に過酷な自然条件の下にある。そのため単純な大屋根の建物とし、よけいな突起物をなくし、軒裏も頑丈に仕上げ、雪害を最小限にとどめる配慮を随所にしている。尾根の先端の狭い敷地に、コンパクトにまとめられた建物は、等高線に沿って大地に張り付くように建っている。できるだけ建物が目立たぬよう抑え込んだデザインとし、周辺の美しい自然環境の中に静かにとけ込むよう配慮している。この温泉はきわめて酸性度の強い泉質で、金属やコンクリートはすぐにぼろぼろになってしまうため建物は集成材を使った木造とした。積雪加重のため通常よりも部材が多く、力強い木軸組の空間が生まれたが、明快な構造システムのため全体的にはローコストな建物である。仕上材も地場産の杉を多用し、自然素材をできるだけ用いた素朴なものとした。日帰り温泉、休憩ドライブイン、登山やハイキングの山小屋、湯治温泉宿、安価な公共リゾートホテルといった様々な性格を合わせ持ち、人気の観光スポットとなっている。

東北建築賞審査員特別賞 (1999)

所在地:

秋田県東成瀬村

設計期間:

1995.09~1996.06

施工期間:

~1998.6

用途:

温泉リゾートホテル

構造:

RC造・木造
地下1階・地上2階

規模:

延床面積 3,511㎡