1994

潟上市昭和公民館

Community/Cultural

旧昭和町(現・潟上市昭和)は広大な八郎潟の南端に位置する。日本海からの西風が平らかな大地を吹き抜け、背後には秋田杉の大美林を抱える太平山の山並みがそびえる。これは約400人収容の多目的ホールを中心に、研修室、調理実習室、和室、町民ギャラリー等を備えた公民館。予算の都合できわめてローコストで質素な材料を使い、また合理的な構造計画とした一方で、可能な限り豊かな空間と素材感を実現するよう考えた。

全体にラフな感触の仕上げや単純で伸びやかな空間構成が、この地の素朴で雄々しい風土を感じさせる。地場産の秋田杉をシンボリックに使い、森の自然と生命をメタファーとして表現。全体にモダンな造形と、やや日本的な雰囲気が同居したデザインは、農林業を基盤としながら秋田市のベッドタウンとして都会的な環境に移り変わるこの町にふさわしい雰囲気となった。

所在地:

秋田県潟上市

設計期間:

1992.10~1993.02

施工期間:

1993.08~1994.11

用途:

公民館

構造:

RC造、地上2階

規模:

延床面積 1,206㎡

400人収容の多目的ホールを有した公民館である。秋田杉の丸太をシンボリックに使ったり、杉板スレート、コンクリート打ち放し、木毛セメント板など、ローコストな素材を組合わせ、表情ある空間を作り出した。

さらにスチールやガラスブロック、白い塗装壁といったモダンな要素をこれらローテク素材と共に使うことで、都会的感覚の中にもなつかしさも感じられる。

隣接した八郎潟から吹きつける風は強く、気候風土も激しい。外観を特徴づけている風を切るようなフォルムと流れるような屋根の曲線が、そうした風土に立ち向かっている。