2002

名水市場「湧太郎」

Commercial/Recreation, Community/Cultural

美郷町(旧・六郷町)はかつて、雄物川の水運による米の集積地として栄えた。近年は商店街の空洞化に悩まされてきたが、人々の商都としての誇りは強く、町は全国に先駆けて、中心市街地活性化事業に取り組んできた。

これは空き店舗再生のための補助メニューを使い、廃業した古い酒蔵を利用した新たな商業拠点で、商店街の活性化はもとより近隣の田沢湖、角館とも連携した観光拠点もめざしている。またこの町には日本名水百選の貴重な湧水群があり、その清水巡りの散策ルートの拠点ともなっている。

私たちは、六郷まちづくり株式会社がTMO構想をまとめようとしている段階から計画に参加し、商店主たちとワークショップ等で討論を重ねつつ、全く白紙の状態からこの施設のイメージや在り方について案を練り上げていった。最初は六郷らしい商品の企画、ターゲットとする客層のイメージ等についての議論やアイディア出しから始まり、序々に具体的なハード施設の空間イメージを作り上げた。

建物は昔の酒蔵のイメージを踏襲しながらも、既存の町並みに溶け込むよう配慮した。内部に一番大きな酒蔵を一つ残し、かつての営みを偲ぶ古い家具調度、古材、煙突や酒の絞り機、井戸を随所にちりばめた。さらに昔の内部を撮影した写真をスーパーグラフィックとして壁面に使い、古い要素と新しくモダンな空間がコラージュされた、独特な雰囲気を醸し出す空間を生み出した。